2005年09月20日

第二回メンタルトレーニング講義:メンタルトレーニングの目指す状態

 ずいぶん間が空いてしまいましたが、今日は第二回のメンタルトレーニング講義を行いたいと思います。テーマはメンタルトレーニングの目指す状態・ゴールです。まずは最終的な目標がわからないとトレーニングの方向性も見えてきませんしね。
 選手にとって成績を残すことが最大のテーマであろうことは予測がつきますが、それは最終的な結果であって、その過程がより重要になってくると思います。そのスポーツをやっていること自体が楽しいとしたら、さらにそれに結果がついてくれば最高だと思いませんか?みなさんも特に子供の頃、友達と遊んだり、おもちゃで遊んだり、ままごとをしたり、砂場で遊んだりして、気付いたらもう空は暗くていつの間にこんなに時間が経ったんだと感じたことはありませんか?そのときは、その楽しい時間に没頭してとてつもない集中力を発揮していたんですね。そのような状態Flow(フロー)こそが私の研究テーマなのです。
 私は先のアテネオリンピックに出場した3選手も含まれたトップレベルの選手たちへのインタビューの結果、6つのあるべき競技前の状態を再発見いたしました。

1.リラックス
ここではリラックスとしているが、適度な緊張状態のこと。緊張しすぎてもリラックスしすぎてもいけない。
2.自信
自信を持っていること。練習やコンディションがよく反映されている。これも自信がなかったり、過信になってはいけない。
3.意欲
意欲があること。挑戦的な目標、明確な目標。舞台の大きさなども関係。ただ、これも意欲がなくても意気込みすぎていてもいけない。
4.集中
集中力があること。意図的な集中の高め方はあまり見られなかったが、自然にできているときに結果的にFlowになっている。
5.マイナス要因の欠如
不安や緊張など競技以外のことにエネルギーを使わなくてすむ状態。
6.肯定的な感情
例えば、目標にしていた試合に出れて嬉しい、楽しいといったポジティブな感情がいい影響を及ぼす。

 これら6つの状態がそろえば、Flowになる確率も高くなり、いいパフォーマンスができる確率も高まると思います。トップの選手のインタビューなどにもこのような事象の良い・悪い例が出てくると思われるので、みなさんも目や耳を傾けてみてください。
では、またそれぞれの詳しい内容はおいおいということで…。
どうでしたか?banner_03.gif
posted by 杉山卓也 at 22:46| Comment(7) | TrackBack(0) | メンタルトレーニング講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始めまして、ホームページ拝見させていただきました。
フロウというご説明がありますが、そのような状態になるといいことずくめというのはわかるのですが、そのような体験をすることそのものが難しいように思ってしまいます。オリンピックに出ている人たちは、みんなそのような状態で競技をしているのでしょうか?
Posted by CC at 2005年09月21日 18:34
久々の講義、今回のフローについては良くわかりましたがこの状態を一般プレーヤーが作るのはかなり難しい。
緊張しすぎてはいけない、過信しすぎてはいけない、意気込みすぎてはいけない。これを達成するのは至難の業です。
今後、どうやってこういう状態を作っていけば良いのか講義に注目しています。
Posted by さかもっち at 2005年09月21日 22:59
CCさん、さかもっちさん、コメントありがとうございます。

Flowは例にも書いてあるように、砂場で遊んだりして、お母さんが呼びに来るまで暗くなってもわからないぐらい何かに没頭しているときなどに起きることで、高いレベルから低いレベルまであります。勿論高いレベルのフローになると一般的な競技者には難しいかもしれません。以前、スピードスケートの清水宏保選手が長野オリンピックで金メダルを獲得したとき、ゴールへの道筋に「光のラインが見えた」と言っています。昔の野球選手がバッティング時に「ボールが止まって見えた」というのも高いフローの現象です。
6つ挙げたものはFlowになるための条件とも言いましょうか。勿論それらを揃えるのは言われたように難しいですが、それに向けてフィジカル面や技術面と同じようにトレーニングが必要です。
Posted by 杉山卓也 at 2005年09月21日 23:53
はじめまして。フェデラーと心理学で検索していて見つけました。先日、生フェデラーを観てきましたが、テレビで観るより、さらにリラックスしていて全く頑張ってやっている様に見えなかったのが印象的でした。フローっていう状態があるんですね。興味を持ちました。これって、スポーツに限らない話ですよね。何をやるにしても、こういう状態が望ましいのでしょうか?
Posted by みしま at 2006年11月18日 22:39
みしまさん、はじめまして。
フェデラーは何やっても上手で本当にテニスを楽しんでいますね。
そうですね。少し専門的な話をしますとフローという概念はもともと宇宙飛行士や外科医、指揮者、登山家など多岐に渉る人々が「身体が流れている」「意識が流れている」といったように表現したところからflowと名付けられています。パフォーマンスとの正の相関もありますし、この状態自体が楽しいと感じられる状態なので、動機としてもすごく健康的で望ましい状態の1つであることは間違いないと思いますよ。
Posted by 杉山卓也 at 2006年11月22日 01:32
「流れる」と多くの人が表現するからフローなんですね。なるほど。楽しく遊んだり、楽しく仕事をするのは、スポーツに限らず重要ってことですよね。自分の経験上も全くそうだと思います。でも、日本人って楽しんだり遊んだりするのが下手な人種で、僕自身も稀に、テニスやスキーの技術にこだわりすぎて、どんどんダメになる時ってありますよね。仕事もダメな時は楽しもうとか楽しんでいない時が多いと思います。そういう時になんとかフローに持っていけるようになるのがメンタルトレーニングを積むことで可能になるのでしょうか?
Posted by みしま at 2006年11月24日 23:20
僕自身の研究結果から言うと、割と高いレベルのスポーツ競技選手にインタビューした結果では、作り出そうと思って作り出せるという人が7割、難しいと答えた人が3割で、できないと答えた選手はいませんでした。
フローにもレベルがあって、それほど高くないレベルのフローであれば、条件が揃えばかなりの確率でできると僕は考えています。自意識の消失や時間知覚の変容などが起こってくるような高いレベルのフローはちょっと難しいと思いますが。
Posted by 杉山卓也 at 2006年11月25日 19:39
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